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グループ介護施設で活躍するドッグトレーナー 犬に何かをしてあげるのではなく、犬と共に何かをしていきたい/ドッグトレーナー 座談会

介護部2021.12.10
介護部

グループ介護施設で活躍するドッグトレーナー
犬に何かをしてあげるのではなく、犬と共に何かをしていきたい

グループの介護施設で働くドッグトレーナー3名にお話を伺いました。2020年度に全員が新卒で入職し、それぞれパートナーとなる犬を子犬から施設で育てながら、利用者さんと犬が安全に触れ合えるようサポートしています。まだまだ珍しい、介護施設で働くドッグトレーナーですが、3人がどのようにこの仕事を志し、グループで働くこととなったのか、その経歴を中心に伺いました!ぜひご覧ください。

個性豊かな3頭と3人

こうして3人で揃うのは久しぶりだったそうですね。

黒﨑:世田谷記念病院でのドッグセラピーで、2人ずつで顔を合わせることはあったんですけど、こうして集まるのはすごい久しぶりです。

みなさん入職してからどのくらいが経ちましたか。

安西:去年の4月に入職したので、1年半くらいですね。

3人とも新卒での入職ですよね。専門学校が一緒というわけでは。

黒﨑:そこはバラバラです。

安西:でも私と黒﨑さんの2人は地元が近いんですよ。

そうなんですね。お2人の出身は。

黒﨑:栃木県です。

米川:私は東京です。

それぞれ、自分が担当する犬の性格や特徴はどんな感じですか。

全員:難しい…(笑)。

米川:はるは、好奇心は旺盛ですね。遊びが好きで、ほかのワンちゃんのことも好きです。でも、すぐ眠くなっちゃうんですよ。予防接種を受けに行った時にも、途中までは看護師さんに積極的に寄っていってたんですけど、いざ注射だってなると、現実逃避してなぜか眠くなってしまって(笑)。

かわいいですね(笑)。いなりはどうですか。

安西:いなりは、自由がとても好きですね。あとはおもちゃで遊ぶのが好きなので、一緒に遊ぶと楽しいですね。でも、束縛されるのがすごく苦手で、自分が好きなことをずっとやりたいタイプと言いますか。だから、何かをしてもらう時に気乗りしていなさそうだったら、私が「楽しい、楽しい、楽しいよ!」って気分を高めてから行ってます。

全員:(笑)。

楽しいことをすごい楽しんでくれるんですね。そしてドッグトレーナーさんは、犬の性格をそこまでちゃんと把握して活動しているということにも驚きました。

黒﨑:ロイは人見知りしない性格ですね。すごく人懐っこいので、初めて会う人でも自分から寄って行ってくれるので、すごく助かってる部分ではあります。ちょっと興奮しやすいタイプではあるんですけど、1歳を超えてから落ち着いてきましたね。

ドッグトレーナーといっても
みんなが犬を飼っているというわけではない

みなさんこの仕事をする前から犬は飼っていたんですか。

安西:そこはバラバラですね。

黒﨑:私は幼い頃に飼っていました。父親が森で拾ってきて…。

全員:(笑)。

黒﨑:実家がのどかな場所にあったので、父が仕事の帰り道に森を通るんですよ。その時にたまたま遭遇したみたいで。

ワイルドなエピソードですね。

黒﨑:そのあとは飼っていなかったんですけど、ドッグトレーナーの専門学校に通っていた頃はパートナードッグがいたので、その子をおうちに連れて帰っていたことはありました。

在学中に、授業でパートナーになる犬ということですか。

黒﨑:そうです。学校から「引退していい」っていうことになれば、その子を引き取ることもできるんですけど。

引退するにはそれなりの年齢にならないと、ということですか。

黒﨑:なので、一緒に卒業はできませんでした(笑)。寂しかったんですけど、もともとわかってはいたので覚悟もしていて。今も、地元に帰った時は会いに行くことはあります。

安西さんはいかがですか。

安西:私も似たような感じで、3歳くらいまでは犬を飼っていたんですけど、そこからしばらくはいなくて。でも姉と一緒にずっと、「犬を飼いたい」とは言っていましたね。専門学校に入ってからはパートナードッグと暮らすようになって、その子とは今も一緒に暮らしてます。

黒﨑さんの学校とはシステムが違うんですね。

安西:私が通った学校は、入学したら子犬を預かって一緒に卒業するんです。

黒﨑:すごくうらやましいです。

全員:(笑)。

米川さんの犬事情はいかがですか。

米川:おばあちゃんの家で飼っていたくらいで、私の家では飼っていなかったです。代わりにハムスターとウサギがいました。

お2人のように、専門学校時代のパートナードッグはどうでしたか。

米川:特殊なのかもしれないですけど、学校にいる1頭の犬に対して、担当が何人かついていました。しかも1頭だけじゃなくて、4頭を担当していました(笑)。

多いですね(笑)。学校の犬を生徒のみなさんでお世話するというか。

米川:そうです。黒﨑さんの学校と同じで、犬が引退する時に、希望者が引き取るんです。

犬以外の青春の話

ちなみに、専門学校に入るまでに、みなさん何か打ち込んでいたことはありますか。

黒﨑:私は昔から運動が好きで、小学生の時にソフトボール、中学時代はソフトテニス、高校時代はバドミントン、専門学校の時もバドミントンサークルに入ってました。

いろいろやられていたんですね。大会で勝ち進んだ経験はありますか。

黒﨑:一度、バドミントンでベスト8になりました。

おおっ、すごいですね。県でベスト8ですか。

黒﨑:ちょっと、記憶があんまり…(笑)。

全員:(笑)。

そこを覚えていないっていうことがあるんですね(笑)。

米川:私は地域のクラブ活動みたいなので、ビーチバレーをやっていたんですけど。

全員:え〜っ!

みなさん、知らなかったんですね。

米川:体育館でフワフワのボールを使って、4対4でやるバレーなんです。

あ、砂浜でプレーするスポーツではないんですね。

米川:やりません(笑)。ちっちゃい子もできる、ゆるい感じのスポーツです。友だちのお父さんがコーチをやっていたので誘われて。

ビーチ(ボール)バレーという感じですかね。部活は入ってなかったんですか。

米川:家庭科部に入っていました。ゆるいんですけど、なぜか謎に運動もしていて。家庭科部なのに先生から「外周◯周走ってこい」って言われて「ハイ!」って走ってました(笑)。

家庭科部のイメージからすると、意外な活動ですね(笑)。

安西:私は小中学校と、マーチングバンドに参加していました。

なんの楽器をやられていたんですか。

安西:小学生の時は、小さいトランペットで、中学時代はちょっと大きくなって、ユーフォニアムっていう、中低音が出る楽器を担当していました。

最近はアニメや小説の題材にもなっている金管楽器ですね。では定期的に発表などをして。

安西:夏と冬に一回ずつくらいあって、大会にも出ていました。

犬に何かをするのではなく
犬と一緒に何かをすることを目指して

みなさん、犬を飼っていない時期もそれなりにあったようですが、どんなきっかけで、ドッグトレーナーを目指すようになったのですか。

黒﨑:私は小学生の頃にはもう、将来は動物に関わる仕事がしたいと思ってました。

なぜそう思っていたんですか。

黒﨑:小さい頃から動物好きで、動物園にもよく行っていましたし、それ以外の仕事が考えられなかったというか、興味がなかったんです(笑)。

全員:おお〜っ。

その頃から徹底していたんですね。

黒﨑:幼稚園児の時はお花屋さんになりたいと言っていたみたいなんですけど。

安西:かわいい〜。

黒﨑:それも一瞬で消え去りました。

全員:(笑)。

動物にまつわる仕事のなかでも、どうしてドッグトレーナーを選ばれたんですか。

黒﨑:動物関係の専門学校に入ろうと思って、自分に何が合っているかを考えていたんですけど、小さい頃に動物園で、牧羊犬が仕事をしているのを見て「犬と一緒に何かをする仕事っていいな」と感じたのを思い出したんですね。使役犬や救助犬のこともテレビなどでよく見ていましたし、犬に何かをするよりは「犬と何かをする」ということに興味がありました。

なるほど、そこからドッグトレーナーを希望したと。

黒﨑:学校にはトリマーのコースもあったんですけど、私はすごい不器用で(笑)。

そちらは難しかったと(笑)。安西さんはどうですか。

安西:私の姉が中学生の時。職業体験で動物園の飼育員体験をしていて、それを見て私も行ってみたくなったんですね。そこでの経験が、ドッグトレーナーを目指すきっかけになりました。

どんな経験をされたんですか。

安西:ドッグショー担当のハンドラーの方に2日間ついたんですけど、その時「かっこいいな」と感じたんです。

ドッグショーに憧れたんですか。

安西:いえ、人前に出るのが苦手なので、ショーは私の性格では向いてないなと思いました(笑)。むしろ、ショー以外のところですね。掃除をする時に、声をかけるだけで台の上に乗って待ってもらうとか、そういう犬の扱いがすごく上手だったのを見て憧れました。黒﨑さんと同じで、「犬と一緒に何かをする」というか。それを見てから、ドッグトレーナーを目指そうと思うようになりました。

そこからドッグトレーナーについて学べる専門学校へ進もうと。

安西:それと大きかったのが、テレビでドッグセラピーの紹介を見たことがあって、やってみたいなと思っていたんです。親は看護師なんですけど「時々ワンちゃんが病院に来るよ」っていう話も聞いていて。入学した学校自体は、ドッグセラピーを専門的にやっているわけではなかったんですけど、求人はあるかもしれないから、とりあえずドッグトレーナーの学科に入ってみようと思って。実際、入ったら学校でも一応、動物介在活動(※)にも関わる機会がありました。

※動物介在活動:動物との触れ合いを通し、リラックスやQOL(生活の質)向上を目的とした活動。医療者による目的設定を伴うものは、動物介在療法と呼ばれる。

今の仕事につながることになったわけですね。米川さんはどうですか。

米川:私も小学生くらいの時から、動物関係の仕事に就きたいと思っていたんです。2分の1成人式の時にもそれを表明しましたし(笑)。

黒﨑:懐かしい(笑)。

その時は具体的にどんな仕事をイメージしていたんですか。

米川:最初は動物園の飼育員がいいなと思っていました。でも「犬が好きだな」っていう気持ちが自分のなかにあって、そこからペットショップのスタッフ、トリマー、ドッグトレーナー、と絞っていきました。

どうやって絞っていかれたのですか。

米川:専門学校に入る時は、まだドッグトレーナーに絞っていたわけではなかったんですね。何が自分に向いているかわからなかったので、トレーナーだけでなく、動物看護師やトリマーも目指せる専門学校に入って、そこで自分に合うものを見つけて決めようと思っていました。

では授業を受けるうちに、ドッグトレーナーを目指すようになったと。

米川:授業で一番やっていて楽しかったのがドッグトレーナーでしたね。授業を受けていても身になるし、そのうえ楽しいということが一番大きかったです。犬と関わるだけでなくて、犬を通して人と関われることがいいなと思いました。

厳しい就活事情…
それぞれ想いを持って、グループへ入職

みなさん、いざ就職先を探すとなった時には、どういうことを考えて活動されたのですか。

全員:…。

急に全員が苦い顔になりましたね。

全員:(笑)。

黒﨑:私はもともと「犬の幼稚園」に就職する方向で考えていました。ドッグトレーナーとしては、そういう施設に就職する人が多いんですね。

子犬の頃から犬をトレーニングする施設ですね。

黒﨑:ただ、そこも決して募集が多くはないうえに、経験者を求める職場も多いんです。私もいくつか犬の幼稚園や動物病院に履歴書を送ったり面接を受けたりもしたんですけど、なかなか受け入れてもらえなくて。

なるほど、なかなか新卒のドッグトレーナー就活事情は大変そうですね。

黒﨑:私の周りでも、就職先が決まるまでに時間がかかった人は多かったです。私もドッグトレーナーの仕事を探して毎日求人サイトを見ていましたし、学校からも紹介をもらえるんですけど、なかなかしっくりくるところがなくて。

黒﨑さんにフィットする就職先は見つからなかったわけですね。

黒﨑:「ドッグトレーナーをやりたい…けど」という感じで、いろいろ求人を見ても、自分のなかで決断しきれない部分があったんです。その時に、たまたまこのグループの求人を見つけて「もうこれしかないな」って思ったんです。

なぜそう思われたのですか。

黒﨑:うーん…直感(笑)?

全員:(笑)。

かっこいい決断ですね。タイプとしては珍しい求人だったんですか。

黒﨑:珍しいと思います。私はこのグループ以外は見たことなかったです。

米川:私は病院の求人をひとつだけ見たことがあって、結局受けはしなかったんですが、見学はさせてもらいました。そこはリハビリをする病院で、犬だけでなく動物全般を飼うという話で、すでにヤギとか牛もいました。これから蛇も飼いたいと話していて、「ええっ」って(笑)。

黒﨑:いいなあ。

(笑)。黒﨑さんは蛇もお好きと。米川さんは結局そちらの病院は受けずに、このグループに応募されたわけですよね。

米川:私としては、もうちょっと福祉寄りの仕事として、おじいちゃんおばあちゃんと関わりたいと思ったんですね。実は、私の両親が福祉関係の仕事をしていることもあって、もともと福祉の世界にも興味があったんです。

差し支えなければ、ご両親はどういったお仕事をされているんですか。

米川:えーっと、介護士と、ケアマネジャーか施設長だったか(笑)。

全員:おお〜っ。

環境として、福祉の世界も身近だったんですね。

米川:職場体験で親の働く施設に行ったこともありましたし、おじいちゃんおばあちゃんも好きなので、そういう仕事もいいなと思っていた時もあったんですけど、テレビで、病院や施設で行われるドッグセラピーを知って「こういう仕事があるならやってみたいな」と思うようになったんです。

なるほど、犬を通して利用者さんと触れ合うことで、動物と福祉、どちらにも関わる仕事ができる、ということですね。そこで、このグループの求人に出会ったと。

米川:介護福祉事業部の城野さん(※)たちが、求人募集のために私がいた学校に相談に来ていたんですね。先生から、こういうグループがドッグトレーナーを探しているらしいよっていうことを教えてもらって。やっぱりドッグセラピーに関わることがもともとやりたいと思ってたことだし、いいなと思いました。その時、犬の幼稚園の選考が進んではいたんですけど、そちらは辞退させてもらって。

平成医療福祉グループ 介護福祉事業部 サービス企画課/木村 太一さん・城野 葵さん インタビュー記事

希望に沿っていたと言えるわけですね。安西さんの就活事情はいかがでしたか。

安西:ここの求人に出会う前に、ドッグセラピーを実施している病院があって、一度研修に行ったことがあったんですね。でもそこは研修としては受け入れてくれたけど、採用はやっていないと言われてしまって。そこで、一旦ドッグセラピーの仕事を諦めました。

ドッグセラピーの仕事に就きたかったけれど、一度諦められて。

安西:そこからは、犬の幼稚園や犬の保護施設に研修に行ってみたんですけど、私にはちょっと合わないところがあって。

ちなみにどんなところでしたか。

安西:保護施設の方は、個人が保護犬をお世話をしているようなところで。そこで働いている人も特にトレーナーとして技術があるわけではないから、犬のマウンティング(※)を止められないとか、私から見てもヒヤヒヤする状況で。私がマウンティングを止めたら「そんなことができてすごい!」って言われました(笑)。

全員:(笑)。

※犬が、ほかの犬や人に、自分の腰を押しつける行為。

あまりちゃんとした組織の形ではなかったと。

安西:そこも諦めて、今度は犬の幼稚園に研修に行き、そこは楽しかったんですけど、求人に応募したのに全然返事が来なくて。こちらから連絡したら「もうほかの人を採用しちゃいました」と言われてしまい…その日に、このグループの求人を見つけたので「もうここしか!」と思って応募しました。

就活で紆余曲折があった末で、このグループとの出会いがあったのですね。

安西:そうなんです、ここがダメだったらもう実家に帰ろう、と思ってました(笑)。

全員:(笑)。

犬の持つ不思議な力を信じて

このグループでドッグセラピーの仕事に携わることになって、どんな思いでしたか。

黒﨑:自分が動物好きなので、動物と関わることの楽しさを利用者さんに伝えられるっていうのは、すごくいいなと思いました。

安西:私は、犬と触れ合って人が笑顔になるとか、心が動くっていうのがやっぱりいいなって思って。自分でもそういう経験があるし、周りでも同じようにあって、そういう目的のために犬と働けるところがいいなと思いました。

実際に、専門学校で動物介在活動を体験した時にもそういったことがあったわけですか。

安西:犬と出会って、嬉しくて泣いてしまう方も割と多かったですね。日頃全然喋らないと言われている方が、犬が来た時にだけすごく喋ってくれたこともありました。

実際そういった体験もされて。米川さんはどうですか。

米川:私は専門学校時代に1年間、週1回いろいろな介護施設を回っていたことがあったんですね。そこで、すごく喜んでくださったり、普段動きがあまりない方が、急に動いて介護士さんがびっくりしてるところを間近で見たりすると「やっぱり動物ってすごい」って思うようになって。それを自分ができたら嬉しいし楽しいしっていう気持ちがありましたね。自分で関わるようになるなら、それで何かが改善したらすごいことだな、って思っていました。

現場に戸惑うも まずはオープンマインドで

実際にグループに入ることになってから、担当する犬はどのように決まっていったんですか。

米川:内定をいただいてから入職する前に、一度集まる機会があって、その時にそれぞれ犬種の希望を伝えました。

黒﨑:みんないくつか案を出して。それも込みで、配属施設が決まったんだと思います。

施設によって、このサイズの犬種なら飼える・飼えない、がありますしね。

黒﨑:ケアホーム葛飾やケアホーム板橋は、スペース的に大型でも大丈夫だし、ケアホーム千鳥は大きい施設ではないので、小型がいいんじゃないかって。ちょうど米川さんも小型を希望していましたし。

そこから犬種と配属施設が決まり、入職のタイミングで犬と一緒に入られたんですか。

安西:犬はみんなが入職してから探し始めましたね。

ではまずみなさんそれぞれが施設へ単体で入られたと。当初の仕事はどのようにスタートしたのですか。

安西:3人ともまずはそれぞれの施設のリハビリテーション科に配属されたんですけど、私はまず、リハビリのスタッフとしてリハビリの体操やレクリエーションに関わったり、利用者さんのところに行ってお話をしたり、犬の準備をしたりしていました。

米川:私も犬の準備をしながら、リハビリの体操について行かせてもらって、利用者さんの名前を覚えていっていましたね。利用者さんやリハビリ以外のスタッフさんからは、リハビリ助手さんだと認識されていたと思います。

黒﨑:私も近い感じではありましたね。ただ、特に最初は犬がまだいなかったので、施設の方も戸惑ってはいたと思います(笑)。

そうなりそうではありますよね(笑)。

安西:犬が施設に来てからは、利用者さんのいるユニットに入りやすくなりましたけど、それまでは、やっぱりどうやって関わっていったらいいか悩みましたね。

犬がいない状態でドッグトレーナーとして接するのは難しさがありそうです。

安西:利用者さんも、私のことを「誰だろう?」って思ってしまうのではないかなと思って。でもそれを、施設のリハビリスタッフさんに相談したら「オープンマインドだよ」って言ってくれて、それでがんばれました。

広い心でまずは行ってみようと。実際に犬が施設に来たのはどのくらいだったのでしょう。

米川:私がいるケアホーム千鳥と、安西さんのいるケアホーム葛飾は5月下旬くらいでしたね。

黒﨑:私のところはなかなか見つからなかったので、7月くらいでした。

やはりしっかり探すとなると、それなりに時間がかかるものなんですね。

多くの利用者さんが犬を楽しみに
時間をかけるからこそ見られる効果

それぞれの犬が施設に来て、まずはどういうことをされたのですか。

黒﨑:まず犬のトレーニングからですね。そこから様子を見て、行けそうだなと思った頃から、利用者さんのいるユニットに行って、動物介在活動(※)(以下、介在活動)を始めました。

※動物介在活動:動物との触れ合いを通し、リラックスやQOL(生活の質)向上を目的とした活動。医療者による目的設定を伴うものは、動物介在療法と呼ばれる。

まず利用者さんのところに問題なく行ける状態にトレーニングしていかないといけないわけですね。あらためて、犬と一緒に利用者さんの元を訪れてみていかがでしたか。

黒﨑:最初は、利用者さんもスタッフさんのどちらにも、戸惑われる方はいらっしゃいました。でも、もともとご自宅で犬を飼っていたという利用者さんは喜んでくださいましたし、ロイを連れて毎日のように通ううちに、最初は戸惑っていた方もだんだん慣れてきて、声をかけてくれるようになったり、触ってくれるようになったり。

良い反応は実感できるものですか。

黒﨑:自分で直接、そういった利用者さんの変化を感じ取れる時もありますし、その場ではわからなくても、介在活動をした後で、そのユニットの介護士さんから「あの利用者さんは、犬が来た時だけ動くんだよ」とか「いつも座っているのに、席から立って歩くんだよ」という声を聞くと、とても嬉しいですし、やりがいを感じます。

実際に、犬をきっかけとして、普段動きの少ない方へ影響が出ることもあるわけですね。

黒﨑:それと、ロイの名前は覚えてなくても「黒い犬がいる」っていうことは覚えて楽しみにしてくれている利用者さんもいて、「今日も黒いワンちゃん来てくれたの〜」って声をかけてくれるんですね。こうやって回ることで、いい効果があるんだなと感じています。

米川:例えば、一回だけ施設にパッと訪問するだけでは、犬が苦手な人は苦手なままかもしれないですけど、こうやってずっと施設にいるからこそ、長い時間をかけて接することができるのは大きいですね。みなさん、施設に来たばかりの小さい頃からはるを見ていますし、苦手な人も楽しみにしてくれるようになりました。

安西:いつでも会いやすいのは大きいですね。特にうちは大型犬ですし、利用者さんもスタッフさんも、いなりが小さい時から接することができたので、成長してからも「大きくなったね〜」と、親しみを持ってもらえました。

長い時間をかけられるからこその部分が大きそうですね。犬が苦手な人でも、やはり長期で接することで、変化があるものなんですね。

安西:いなりがいない状態で、私が「ドッグトレーナーです」って話しかけただけでも、「こっち来ないで!」と怖がられるくらい、犬が苦手な利用者さんがいたんですね。もともと少し不安がある方ではあったんですけど、そんな方でも、毎日のようにいなりを連れて会いに行っていると、かなり慣れてくれるようになるんです。今では、いなりをチョンチョンって触ってくれたり、ユニットから離れる時には「もう帰っちゃうの?」と言って、途中までついてきてくれたり。そういう様子が見られるようになると、やってて良かったなと思います。

介在活動を充実させるために
他職種のスタッフと接点を増やす

ドッグトレーナーは、今までグループではどの施設にもいなかった職種ですし、いざ働き始めてからいろいろと大変なこともあったのではないかと思うのですが、どのようにアプローチしてこられましたか。

安西:ラウンドし始めるようになってからは、まずユニットのスタッフさんに、私といなりの存在を知ってもらうために、スタッフさんに多めに触ってもらったり、長めに話してみたり。スタッフさんと関係性を作りながら、「あの利用者さんはどういう方ですか?」と、犬が好きそうな方を教えてもらって、様子を見て触れ合っていきました。

しっかりと周りから固めていったんですね。まずは施設のみなさんに、ドッグトレーナーと犬を知ってもらうところからと。

米川:私は、介在活動や犬のお世話をしている時以外に時間があったので、そこも何かやらせてもらいたいと思ったんですね。施設に相談をしてみたら、事務のスタッフさんが声をかけてくれて、施設の事務所で仕事をするようになりました。

犬の体力を考慮すると、1日にラウンドできる時間も限られますし、そういった時間に事務の仕事を行っているんですね。

米川:それがとても良かったというか、ドッグトレーナー以外にも自分の居場所ができたのは大きかったです。どのスタッフさんも出勤すると1日に何度かは事務所の前を通って、コミュニケーションを取る機会がありますから。そうやってスタッフさんと接する時間が増えることで、より介在活動がやりやすくなりました。

事務の仕事を通して施設に存在がより浸透して、ドッグトレーナーの仕事にもいい影響があったのですね。

黒﨑:私も、ドッグトレーナーの仕事以外の時間を使って利用者さんとの関わりを増やしたいなと思って相談をしたんです。結果的に、施設の介護主任さんに話が通って、ショートステイの入所・退所のお手伝いをさせてもらうようになりました。

実際にお手伝いされてみていかがでしたか。

黒﨑:利用者さんとお話をする時間も増えましたし、今までリハビリスタッフさんとは関わる時間があっても、ほかの職種の方と接する時間が少なかったんですね。ショートステイに関わることで、介護スタッフさんや相談員さん、いろいろな職種の方ともコミュニケーションを取れるようになりましたし、やって良かったなと思っています。

最初は苦労したコミュニケーション
今では喜んでもらえることがやりがい

みなさんが所属するそれぞれの施設で介在活動を行う様子も見学させてもらいましたが、利用者さんとの応対が、とても自然だなと思いました。

米川:でも、最初は…。

安西:全然ね…(笑)。

全員:(笑)。

やはり徐々に慣れていったんですね。

安西:声のボリュームはどれくらいがいいとか、自分がどれくらいしゃがめばいいのかとか。

黒﨑:何を話せばいいんだろうとか。

安西:最初は全然わからなくて、もう、ガッチガチでした(笑)。

米川:どう接していいのかわからなかったので、怖かったですね。

今のような利用者さんとのコミュニケーションは、やりながら自分で掴んでいったのですか。

黒﨑:周りのスタッフさんは「とりあえず行ってみよう」という感じではありましたね(笑)。

なるほど(笑)。掴めるようになるきっかけみたいなものはありましたか。

安西:私は、リハビリスタッフさんから「こういうこと聞いてみたら?」という話題を何個かもらいました。「天気いいですね」とか「ご飯食べましたか」とか。まずはそれを全員に聞いてみることから始めました。

まずはシンプルな話題で話しかけてみようということですね。

安西:まだいなりが施設に来る前に、1人だけでユニットに行っていた時にそれを繰り返して、この人はよく喋る、この人は応答が少ない、という傾向を覚えておきました。そうしておくと、次に犬を連れていった時には、こういうスピードで喋ればいいということがなんとなくわかるようにはなったので、やっておいて良かったなと思いました。

そういう地道な積み重ねを繰り返したうえで、今のような自然なやりとりができているんですね。みなさん、今はどんなことが仕事のモチベーションや、やりがいになっていますか。

黒﨑:介在活動としてユニットに入った時に、それまではイスに座って黙っている利用者さんが、ロイと一緒に声をかけると笑顔になってくださることですね。名前は覚えていなくても、犬がいることだけでも覚えてくれているのは励みになります。あとはショートステイのお手伝いの時に「ありがとう」と言ってもらえることがあるので、そういう時は「良かったなあ」ってすごく思います。

安西:近い話なんですけど、ラウンドした時に利用者さんの笑顔を直接見られたりとか、動きがいつもより多くなったりするのがいいなと思います。私は、いなりと一緒でなくても、リハビリの体操やレクリエーションで、1人でユニットに行くこともあるので、その時に「ああ今日はいなりいないんだ」と言われることもあって。利用者さんが、いなりのことだけでなく、いなりを連れて来る私のことを認知してくれるのも嬉しいですね。逆に「今日は体操はないの?」と、体操の方で覚えてくれる人もいます(笑)。

米川:それは嬉しいね〜。

米川さんはいかがですか。

米川:私は、利用者さんが動いてくれるとか、良い影響が見られた時は嬉しいですし、介在活動を終えてユニットを離れる時に、利用者さんみんなから「また来てね〜」と手を振ってもらった時が、すごく嬉しくて、毎回「また来るね!」っていう気持ちになってます(笑)。次に行った時も、手招きして呼んでくれるんです。そういう意味では、はるがいることで私を覚えてもらっていることが多くて、私自身、はるに助けられているなと思いますね。

施設に犬がいる日常を
もっと当たり前のことに

では最後に、今後の目標や展望はありますか。

黒﨑:今も既に、施設でロイの存在が馴染んできてはいるんですけど、もっともっと、犬がいることが特別でなく、普通のことだと思ってもらえたらいいなと思っています。

介護部としても「いつも通りを諦めない」という理念(※1)を掲げていますし、まさに当たり前のように、犬が一緒に生活している環境、ということですね。

黒﨑:そうですね。なので、もっとフランクな感じで、利用者さんのもとに連れていけるようになりたいです。それと、最近はこの3頭で世田谷記念病院へドッグセラピーの活動で行ったり、ケアホーム板橋だと隣のココロネ板橋に行ったり、あとはお互いの施設も行き来したりしているので。コロナ禍で止まっていた時期もあるんですけど、そちらの取り組みも、さらに充実させていけたらいいなと思います。

※1:買い物や食事、趣味など、介護施設への入所前に過ごしていた日常を、入所後も諦めることなく送ることを目指す取り組み。

安西さんはいかがですか。

安西:今はまだ利用者さんとはユニットで触れ合うことが活動の中心なんですけど、今後は一緒に散歩をしたり、遊んだりと、活動の幅を広げていきたいです。

ユニットの外での触れ合いも、今後は視野に入れていくということですね。

安西:それと、黒﨑さんが話したような、施設外への訪問も増えてきているんですが、いなりがまだまだ外部でのラウンドに慣れていないので、今後機会が持てるのであれば、ストレスにならないよう気をつけながら、しっかりと慣らしていきたいなと思っています。

新しい環境にも無理なく対応できるように、時間をかけて準備していきたいと。

米川:私も、グループのいろんな病院や施設に行って、患者さんや利用者さんと触れ合えるのはいいことだし、もっと取り組んでいきたいなと思っています。まだまだ私もはるも未熟なので、もっと成長して、いろいろな施設も回っていけるようになればいいなと思っています。あとは「Webドッグ」の取り組みも、先日始まったので、もっと広げていきたいです。

「Webドッグ」とはどういった取り組みですか。

安西:犬のいない施設と、犬のいる施設をオンラインでつないで、画面越しに犬の様子をお見せして、特技を披露したり、質問に答えたりということをして、楽しんでもらうものですね。

なるほど、犬のいないグループ施設に、犬とのふれあいを擬似体験してもらうんですね。

安西:まだやり始めたばかりで、これから改善も必要なんですけど、まずは喜んでいただけました。

とにかく仲の良い3人です

では、プライベートのことも少しお聞きします。お休みの日はどう過ごしていますか。

黒﨑:私はディズニーが好きなので、ディズニー映画を見ることが多いです。あとはご飯がすごい好きなので、自分でも作りますし、友だちとご飯に行くとか、トレーナー同士でもたまに集まることはありますよ。最近はあまり行けていませんが。

安西:好きなのはご飯だけ?

それは、お酒好きということですか(笑)。

黒﨑:自宅で晩酌するくらいには好きですね(笑)。

みなさん、こうしてインタビューしていても感じますが、仲が良さそうな印象を受けます。

黒﨑:同世代で話しやすかったのは良かったです。

米川:お互い相談しやすかったです。

米川さんの休日はいかがですか。

米川:ドラマが好きなんで、ドラマを見たり、本を読んだり。

どんなものをチョイスしているんですか。

米川:本屋大賞はチェックしているので、大賞を取ったものは読みたくなっちゃいますね。あと、過ごし方としては友だちと遊びに行ってます。今はちょっと様子を見ながらですけど。

安西さんはいかがですか。

安西:家に、専門学校から一緒のパートナードッグがいるんで、一緒に出かけることもあります。でも、とても静かなんですよね。散歩っていうワードを出さない限りは、基本的には寝ています。

かわいいですね〜。ちなみに犬以外には何か趣味はあるんですか。

安西:趣味か…う〜ん。

どうしたんですか。

安西:好きなアーティストがいるんですけど…。

黒﨑:そこに情熱を注いでるよね。

安西:いや、控えめだと思います(笑)。

(笑)。どんなアーティストかは教えてはくれないですか。

安西:そこはちょっと…。

全員:(笑)。

プロフィール

ケアホーム千鳥 ドッグトレーナー

ケアホーム千鳥 ドッグトレーナー

米川 千晴

よねかわ ちはる

【出身】東京都東村山市
【趣味】読書、ドラマ鑑賞
【好きな食べ物】明太子

ケアホーム板橋 ドッグトレーナー

ケアホーム板橋 ドッグトレーナー

黒﨑 千裕

くろさき ちひろ

【出身】栃木県矢板市
【趣味】ディズニー映画鑑賞、ご飯を作る
【好きな食べ物】チョコレート、お肉、お寿司

ケアホーム葛飾 ドッグトレーナー

ケアホーム葛飾 ドッグトレーナー

安西 二葉

あんざい ふたば

【出身】栃木県宇都宮市
【趣味】動画鑑賞、犬と過ごす
【好きな食べ物】海鮮類(特に好きなのはサーモンと貝類)

ケアホーム千鳥

ケアホーム千鳥

はる

【犬種】キャバリア・キング・チャールズ・スパニエル
【性別】♂
【好きな食べ物】ふかしたイモとカボチャ
【名前の由来】春に生まれたこと

ケアホーム板橋

ケアホーム板橋

ロイ

ろい

【犬種】コッカプー
【性別】♂
【チャームポイント】くるくるヘアー
【名前の由来】毛並みが黒いこと

ケアホーム葛飾

ケアホーム葛飾

いなり

【犬種】ゴールデンレトリバー
【性別】♀
【好きなこと】おもちゃで遊ぶこと
【名前の由来】施設近くに稲荷神社があることと、おいなりさんみたいに丸々とかわいいこと

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